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内部統制ブログ(フジタヒロキ)

経営者や内部監査室の方を対象に、効率かつ効果的な内部統制の構築のヒントをお伝えするブログです。

ベンチャースピリットと内部統制

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 内部統制は不正や誤りを防ぐメリットがありますが、人件費が増加するなどのデメリットもあります。一番重要なデメリットは、社員から、ベンチャースピリット(ここでは「常に新しいことにチャレンジしていこうとする心」とします)が失われてしまうことです。
 ベンチャー企業(ここでは「未上場の企業および新興市場の上場企業」とします)を取り巻く環境は、東証に上場している企業と比べて、変化が激しいです。例えばゲーム業界のベンチャー企業で考えてみます。2000年頃、携帯電話のiモードが普及し始めてから、既存の据え置きゲーム機とは異なった、ユーザーの隙間時間を狙ったゲームがはやりました。新しいゲーム会社がたくさん立ち上がりました。携帯電話ゲームを取り巻く環境の変化はものすごく激しかったです。携帯電話のiモード→モバゲー・GREEなどのソーシャルゲームGoogleAppleなどのスマホアプリ へと ゲームが動作するプラットフォームが移り変わり、古いプラットフォームは急激に縮小しました。この変化に上手く乗って売り上げを伸ばしたゲーム会社がありましたが、プラットフォームの縮小と同時に売り上げが大きく縮小して、消えていった会社がたくさんあります。今はメジャーになったモバゲーGREEですが、サービス開始時にここまで成長すると予想できた人は多くなかったはずです。
 消えていった会社と生き残った会社の違いはどこにあるのでしょうか。経営者にベンチャースピリットがあるだけでなく、全社員がベンチャースピリットを持ち続けていたことです。優秀なベンチャー企業の経営者は、社内からベンチャースピリットが失われないように、常に社員に向けて発破をかけています。そういう会社は生き残ってきたことを見てきました。社員からベンチャースピリットが失われてしまったら、会社はみすみす大きなビジネスチャンスを見逃し、そして右肩下がりの既存のビジネスと一緒に沈没してしまうでしょう。
 内部統制は社員の行動をルール化してチェックする仕組みなので、ベンチャースピリットとは真逆の方向にあります。内部統制と共に様々な規定・規則が整備され、それを守ることが求められるようになります。勤怠の管理、請求書の管理、予算の管理、新しいことにチャレンジしたい気持ちがどんどんそがれていきます。

 大企業であれば、盤石なビジネスが収益を生んでおり、取り巻く環境の変化が小さいので、デメリットは小さいです。例えば、電気ガス水道などのインフラ企業であれば、突発的な事故が起きないようにすることが重要視されますので、経営者も内部統制を始めとしたリスク管理を重視しています。守りのマインドを持った従業員も必要です。

 ベンチャー企業にかかわる投資家や取引先はどう考えているのでしょうか。成長を強く望んでいるのでしょうか、会計不正や誤りが発生しないようにと望んでいるのでしょうか。私は両方だと思います。会社の成長を阻害しない、最適な内部統制の整備運用を考えていきましょう。