内部統制ブログ(フジタヒロキ)

経営者や内部監査室の方を対象に、効率かつ効果的な内部統制の構築のヒントをお伝えするブログです。

IR資料から会計不正を学ぼう③(情報・通信、バーター取引)

今回は事例は株式会社オークファンです。
ネットオークションの価格情報の比較・検索・分析等が可能なサイトaucfan.comを運営している会社ですね。それ以外にもWeb上でメーカーと小売店をマッチングさせるサイトNETSEAを運営しているそうです。

会社は、平成28年9月期、平成27年9月期の内部統制報告書で、「重要な不備」を報告しています。
詳細は、オークファンのWebサイトのIRニュースの「2016年11月11日 調査報告書受領に関するお知らせ」にあります。

IRニュース | 株式会社オークファン 28ページのボリュームです。

 

監査法人から疑わしい取引を1件指摘されたため、調査委員会を立ち上げて調査したところ、さらに4件の会計誤りが見つかったそうですね。不正という言葉は使われていないですが、私は、意図的に会計数値を変更しているように認識しました。
5件の取引はそれぞれ誤りの内容が異なっていました。「バーター取引による売上高・仕入高の水増し」「純額で計上すべき売上を総額で計上する」「売上の計上に対して原価の計上を遅くして架空の利益を計上する」といった内容でした。それぞれ興味深いですが、今回は調査報告書で「D社」との取引とされていたバーター取引を含む取引についてみていきます。

概要を1枚の図に纏めました。(省いている箇所がありますので、より詳しく知りたい方は上記の「調査報告書」を読むことをお勧めします!)

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不正誤謬①(売上の前倒し計上)について
オークファン社は、D社よりシステム構築の案件を受注してますが、開発に遅れが生じて納期の9月30日に間に合わなかったんですね。そうすると、期末日である9月30日までに売上を計上できません。もちろん、売上の予算として組み込まれていたでしょうから、売上・利益共に業績予想から下振れしてしまうので、困りますね。かといって納品していないものを売上計上してしまうと、監査法人に説明できないし困ります。そこで資本関係のあるD社から9月30日付の「受領証兼研修合格書」を貰って、架空の売上の計上根拠にしていました。しかし調査委員会の調査の結果、実際に納品されたのは12月18日とされています。

 

不正誤謬②(バーター取引)について
オークファン社の受注に金額変更で追加された6百万円と、D社の受注した5.95百万円が、調査委員会の判断でバーター取引とされています。それぞれ実在していれば会計上問題なかったんですが、6百万円の根拠資料が全く見つからなかったのと、D社からオークファン社に納品された5.95百万円のシステムが、オークファン社で全く使われてなかったことから、実態を伴わない取引で、売上計上すべきではないということになりましした。6百万円の現金が、オークファン社とD社の間で往復しただけで、売上では無いということです。

オークファン社はこのシステムを資産計上して償却開始しているそうなので、売上の6百万円から償却費を除いた金額が利益になっていますね。売上のほとんどが利益として計上されたということになります。一般的なバーター取引の場合、同額の売上高・仕入高が計上され利益ゼロの場合が多いですが、今回は利益まで出してしまうという、会計数値に大きく影響のあるやり方になってます。

 

オークファン社はD社の発行済株式の4.7%を持っているだけですが、D社が不正に協力してくたんですね。資本関係のある会社は、子会社や関連会社の出資規模でなくとも、要注意です。